2009年5月、ユニバーサル造船舞鶴事業所において、初代「しらせ」に続く最新の南極観測船となる新「しらせ」が竣工した。ユニバーサル造船はNKK造船部門の時代から、我が国の南極観測船の建造・修理を一手に引き受けてきた。ただし、ユニバーサル造船が「しらせ」を受注できたのは、決して実績というアドバンテージがあったからだけではない。幾多の先輩造船マンが築いた財産に甘えず、時代の変遷と曲折を経ながら、これまでを上回る性能をもつ南極観測船建造を追い求めたからこその成果だった。
ここで注目していただきたいのが、「しらせ」は舞鶴事業所で建造されたという点だ。つまり、ユニバーサル造船はNKKの造船部門と日立造船の造船部門が2002年10月に統合した会社で、NKKの造船部門が培ってきた南極観測船に関わる設計、建造、修理などのノウハウや経験が、今度はかつての日立造船の事業所であった舞鶴で再生するというわけだ。NKK、日立造船の伝統が融合して建造される「しらせ」は、ユニバーサル造船誕生の新たな象徴となる運命を持っているのである。
このプロジェクトストーリーでは、「しらせ」建造に向け、重要なミッションを遂行した3人の社員にスポットをあてる。彼らの入社当時までさかのぼり、南極観測船との出会い、プロジェクトへの参画、そして受注という通過点へ至るまでの足跡を辿っていくこととしよう。